競馬の血統を徹底解説!基本用語や重要となる特徴をご紹介!
こんにちは、HPC総支配人の若山幸一郎です。
今回は「競馬の血統」についてご紹介します。
競馬は、公営競技の中で最も出走数が多い競技です。
そのため、考慮する内容が非常に多く最も予想が難しい競技とも言えます。
そんな競馬予想の中でも1番重要とされている要素が「血統」です。
血統は、言わば遺伝子。
親の特徴を子がそのまま引き継ぐため、生まれ持ってその才能が大きく異なるのです。
そこで今回は「競馬の血統」について徹底解説。
重要となる特徴・基本用語まで詳しくご紹介しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
競馬の血統とは?
そもそも、競馬の血統とはどういったものなのでしょうか。
ご紹介します。
競馬の血統とは、祖先との血の繋がりのことです。
全ての競走馬には、血統表が用いられており、両親や祖先がどういった特徴を持つのかを知ることができます。
また、両親や祖先の特徴は子が引き継ぐため、競馬予想においては重要な要素の1つとなっているのです。
競馬の血統には三大始祖という重要な血統がある
競馬界において「三大始祖」として広く知られる祖先が存在します。
ほぼすべての現代の競走馬の父系の系統をたどると、以下の3つの馬にたどり着くことができるのです。
- バイアリーターク
- ゴドルフィンアラビアン
- ダーレーアラビアン
上記の3頭は、競走馬の血統における基盤を築き、現代のサラブレッド競走馬が持つ速さ・スタミナ・力強さなどの特徴を形成する上で重要な役割を果たしました。
そのため、競馬界において彼らの名前は非常に尊重され認知度が高いです。
また、余談ではありますが、競馬ファンには馴染みのある人気競馬ゲーム「スターホース」でもライバルとして登場しています。
バイアリーターク系統
この馬は、18世紀に活躍した英国の競走馬。
競馬史上、最も重要な種牡馬の1頭として知られています。
誕生したのは、おおよそ1679年。
彼は所有者であるロバート・バイアリー大佐から名前を付けられ、彼の所有馬として軍務に従事して数々の功績を挙げました。
バイアリータークは、卓越した速さが特徴の競走馬。
その能力により戦場での活躍だけでなく、軍馬の競走でも最優秀賞を獲得したと伝えられています。
現在、この馬の直系血統はリュティエ系統の一部が僅かに残っている程度で、その系統の存続が危ぶまれているのです。
ゴドルフィンアラビアン系統
ゴドルフィンアラビアンは、水車を引く作業馬として活躍した競走馬。
生年についていくつかの異なる説がありつつも、おおよそ1724年に生まれたと言われています。
この名前は、所有者であるエドワード・コークスが名付けたもの。
当時の英国のゴドルフィン家という貴族の名前に由来しています。
⑤度ルディンアラビアンですが、競走馬としては大きな成功を収めませんでした。
しかし、種牡馬としては非常に優秀。
ヨーロッパを起源とするサラブレッド競馬の発展に大きく関わり、その子孫はアメリカでも大きな成功を収めました。
ダーレーアラビアン系統
ダーレーアラビアンは、シリアの遊牧民アラゼー族によって生産された競走馬。
おおよそ1700年代初頭に生まれたとされていますが、詳細な出生年については不明です。
彼の名前は、当時の所有者であるダーレー家のアラブ種馬という意味。
シリアのアラゼー族によって生産された純血アラブ種という説が最も信頼性が高いとされています。
彼は、名馬フライングチルダーズの全弟であるバートレットチルダーズから5代目玄孫として生まれました。
彼の子孫であるエクリプスは、その血統を拡大し世界的な成功を収めています。
エクリプスの血統は、現代のサラブレッド競走馬の父系のほとんどに遡ることができほど有名な血統。
統計的には、9割以上の競走馬がダーレーアラビアンにつながっていると言われています。
競馬はブラッドスポーツと呼ばれる
競馬では、血統が非常に重要視されています。
これは、競走馬が両親や祖先から特定の特性を受け継ぎやすい生き物であるため。
人間でも親から遺伝的に似た特性を受け継ぐことがあるように、競走馬も同様です。
競走馬は、特に親からの遺伝的な特性が鮮明に現れる傾向があり、そのために血統情報を分析し競馬予想を行う競馬ファンも多く存在します。
このように、競馬はしばしば「ブラッドスポーツ」と呼ばれることがあります。
競走馬の血統情報を利用することで、競馬ファンは競走馬の競走成績を予想し、競馬予想を行っているのです。
サラブレッドとはどういう意味?
競馬で一度は聞いたことがあるサラブレッド。
どういった意味なのか理解している方は、実は少ないのではないでしょうか。
サラブレッドとは、競走用に品質向上が図られた馬の高品質な品種を指します。
言い換えれば、競馬は高品質な品種の馬による競技であると言うことです。
サラブレッドは、父馬の特性を強く受け継ぐ傾向があります。
たとえば、競走馬ディープインパクトのように、父が芝コースで成功した場合はその子も芝が得意な傾向が高いです。
同様に、父馬がダートコースで成功した場合は、その子もダート競走が得意になりやすいということ。
また、母馬の父馬(おじいちゃん)の影響も強く現れることがあります。
要するに、サラブレッドは牡馬の影響を受けやすいのです。
そのため、血統情報は競馬において非常に重要ということが言えます。
先述の通り、ブラッドスポーツとも呼ばれる競馬。
過去に良い遺伝子が厳選されて、現在の競馬が展開されているのです。
競馬の血統の基本となる用語
競馬の血統には、数多くの専門用語があります。
専門用語を知ることで血統についてより学習できますが、 全ての用語を覚える必要はありません。
血統を知る上で、覚えておきたい用語は以下の4つ。
- インブリード
- アウトブリード
- 奇跡の血量
- ニックス
それぞれについて詳しくご紹介します。
インブリード
まずは、インブリードについてご紹介します。
インブリードとは、4代前もしくは5代前に同じ両親が重なること。
「近親交配」や「クロス」 と呼ぶこともあります。
これは、特定の遺伝的な特性を固定化し強化するために実施。
固定化することで、競走馬の血統が一貫性を持ち成功パターンや特性が強調されます。
一方で、インブリードにはリスクも存在。
望ましくない遺伝的な特性や疾患を固定化する可能性もあるため、計画的なアプローチが必要です。
競馬業界では、成功したインブリードの例も多く見られ有名な競走馬や種牡馬の血統にはよく見られます。
競馬の品種改良や競走馬の特性強化に寄与する要素である一方で、慎重な計画と注意が必要な側面も持っているのです。
アウトブリード
インブリードとは逆の意味となるアウトブリード。
アウトブリードは、異なる家系や血統を組み合わせる繁殖戦略の1つ。
これは、競走馬の遺伝的多様性を高めて新しい特性を導入し、遺伝的なリスクを減少させるために行われます。
競走馬の血統を適切なバランスとなるためには、アウトブリードは非常に重要。
あまりにも緊密な血統関係が続くと、特定の特性や能力が過度に強調され競走馬の健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、アウトブリードは競馬業界で広く採用されており、競走馬の品種改良や能力向上に貢献。
競走馬の繁殖戦略において、アウトブリードとインブリードをバランスよく組み合わせることが、競走馬の健康と競走成績の向上に関わります。
奇跡の血量
多くの方が聞き慣れないであろう「奇跡の血量」。
奇跡の血量とは、特定の祖先の交配が18.75%の割合で存在する場合のことです。
下記のデアリングタクトの血統を例にご紹介します。
@画像
まず、競走馬の血濃度は表の位置の和で決まります。
表を見ると、デアリングタクトは父のエピファネイアと母のデアリングバードから50%の血を受け継いでいることが分かるでしょう。
また、シンボリクリスエスやシーザリオ・キングカメハメハからデアリングハートの血を25%受け継いでいます。
母方の3代前と父方の4代前にはサンデーサイレンスのクロスがあり、これは18.75%のサンデーサイレンスの血量を持っているということ。
「奇跡の血量」が重要とされる理由は、競走馬は両親の特性を受け継ぎやすいため強い馬同士の交配が行われることが多いからです。
しかし、血統があまりにも密接すぎると虚弱な馬が生まれやすくなります。
逆に、血統があまりにも異なりすぎると両親の特性が受け継ぎにくくなるのです。
そのため、血の濃度が最もバランスが取れているのが18.75%とされています。
奇跡の血量を持つ競走馬には、デアリングタクトやオルフェーヴル・スターズオンアースなどがおり、彼らは特定の交配が18.75%である競走馬です。
ただし、奇跡の血量を持つ馬だけが成功するわけではなく、アウトブリードの馬や、異なる血統からの競走馬も優れた成績を収めることがあります。
競馬においては、血統戦略は多様で成功の要因は様々存在するのです。
ニックス
「ニックス」とは、特定の馬の交配組み合わせにおいて産まれた競走馬が優れた成績を収める傾向が高まる現象を指します。
有名な例として、父馬がステイゴールドで母の父がメジロマックイーンの組み合わせである「ステマ配合」。
これからはオルフェーヴルやゴールドシップなど多くの名馬が輩出されています。
同様に「ディープインパクト× StormCat」の組み合わせも知られ、キズナやラキシスなどがその例です。
そして、2020年代には新たな成功例として「父父ディープインパクト×母父キングヘイロー」の組み合わせが注目され、イクイノックスやウォーターナビレラ・ディープボンドなどがこのニックスによって誕生しています。
現在活躍する主要な牡馬の特徴
ここからは、現在活躍する主要な種牡馬の血統特徴について詳しくご紹介します。
国内で活躍している種牡馬は数えきれないほど存在。
しかし、種牡馬として活躍する馬ほど多くの牝馬と交配できるので、必然的に産駒の父は偏っています。
2020年代、 競馬界で活躍している種牡馬の特徴は以下の5つ。
- スピードと瞬発力に長けたディープインパクト産駒
- オールラウンダーなキングカメハメハ産駒
- 大器晩成のハーツクライ産駒
- 丈夫さがあるステイゴールド産駒
- ダートに強いゴールドアリュール産駒とヘニーヒューズ産駒
それぞれについて詳しくご紹介します。
スピードと瞬発力に長けたディープインパクト産駒
ディープインパクトは、数々のG1タイトルを獲得するなど非常に輝かしい競走成績を収めた競走馬。
種牡馬としても多くの成功を収め、優れた産駒をたくさん輩出しました。
ディープインパクト産駒の特徴には、若い頃から優れた完成度を持つ馬が多いことが挙げられます。
例えば、コントレイルのホープフルステークスは、その馬体が父ディープインパクトを連想させるほど素晴らしいものでした。
ディープインパクト産駒はデビューから洗練された体つきを持っており、それが皐月賞やダービーなどのクラシックレースで成功する要因となっています。
事実、2022年時点でディープインパクト産駒は8頭のダービー馬を輩出。
さらに、彼らは芝のマイルから長距離まで幅広い距離で活躍する傾向があります。
ディープインパクト産駒は、芝のG1レースの多くを制覇しておりその多才さが際立っているのです。
しかし、一方で早熟傾向にあるとも言われており6歳以降の重賞勝利は稀。
また、ダートや短距離での成功例は限られており、ダートのG1馬は存在しません。
彼らの得意分野と苦手分野がはっきりしています。
ディープインパクトは2019年に亡くなりましたが、彼の後継種牡馬としてキズナやミッキーアイルなどが成功しており、その血統は競馬界に今も影響を与えているのです。
オールラウンダーなキングカメハメハ産駒
キングカメハメハ系の競走馬には、特筆すべき2つの特徴があります。
ひとつは、高い適性を持つことです。
これらの馬は芝でもダートでも優れた成績を収め、長距離競走を除いて幅広い距離で成功を収めることがあります。
例えば、阪神大賞典を制したユーキャンスマイルのように、長距離も決して苦手とは言えません。
もうひとつの特徴は、キングカメハメハ系産駒が「非サンデーサイレンス系」であることです。
競走馬の能力は、両親の強さに影響されるため強力な馬同士の交配が基本。
しかし、90年代に輸入されたサンデーサイレンスが急速に成功し、競馬界に多くのサンデーサイレンス系競走馬を生み出しました。
このため「サンデーサイレンス系×非サンデーサイレンス系」の交配が減少し交配が難しくなる時期も。
キングカメハメハは、待望の非サンデーサイレンス系の馬として登場しました。
彼の母方にサンデーサイレンスの血統があっても、彼自身はサンデーサイレンスの血を持たないため、多くの優れたサンデーサイレンス系牝馬との交配が可能でした。
その結果、ダービー馬のレイデオロやドゥラメンテ・ロードカナロアなどが誕生しました。
キングカメハメハとサンデーサイレンス系の組み合わせから生まれる競走馬は競馬界で頻繁に成功し、ディープインパクトと並んで2大種牡馬の1つに。
キングカメハメハは亡くなりましたが、ロードカナロアやルーラーシップなどその血統は競馬界で今も続いています。
大器晩成のハーツクライ産駒
ハーツクライは、競走馬時代に2つのG1タイトルを獲得した競走馬。
特に有馬記念で日本の競走馬として、唯一ディープインパクトに先着したことが評価されて種牡馬としての道を歩みました。
ハーツクライの産駒には、晩成型の特徴が見られます。
これらの馬は年齢を重ねることで実力を発揮し、成長速度は時折ディープインパクトやキングカメハメハ産駒を凌駕することすらありました。
例えば、ジャスタウェイは若い時期にはクラシック競走で目立たなかったが、古馬になってから急激に力を発揮し、ドバイデューティーフリーでの圧勝が記憶に新しいでしょう。
名牝リスグラシューもハーツクライの産駒で、若い時からG1競走で好成績を収めましたが、本格的な成功は4歳の秋から始まり、エリザベス女王杯や宝塚記念・有馬記念などで活躍。
2019年の年度代表馬にまで上り詰めています。
スワーヴリチャードやシュヴァルグランも、古馬になってからジャパンカップを制して大器晩成型の例を示しました。
ハーツクライは2020年に種牡馬を引退し、その後は功労馬として余生を楽しんでいます。
ハーツクライの後継者としては、ジャスタウェイやスワーヴリチャード・シュヴァルグランなどが種牡馬として活躍中です。
丈夫さがあるステイゴールド産駒
ステイゴールドは、長らく勝ち星を手にするのに苦労した競走馬。
しかし、その誠実な姿勢と頑張りにより「負けても負けても愛されたHERO」として称えられ、2022年のJRAのCMでも特集されました。
どんなレースでも上位争いをし続け、最後の勝利を香港ヴァーズで収めてG1タイトルを手にし、7歳まで大きな怪我もなく競馬の舞台を駆け抜けています。
この姿勢と功績は多くの競馬ファンや関係者から高く評価され、G1タイトル1勝という成績でも種牡馬入りを果たしました。
ステイゴールドは、後にオルフェーヴルやゴールドシップなどを輩出し人気の種牡馬に。
競走馬時代の特徴であるスタミナやパワー・丈夫さは産駒たちにも受け継がれ、特に芝の中距離から長距離競走での実績が多いです。
また、ダート競走でも力を発揮する馬が多く、短距離やマイルでの成功例は限られています。
ステイゴールドの産駒たちは持久力を生かす舞台で活躍しており、スピードや瞬発力はそれほど高くない傾向です。
ステイゴールドは2015年に亡くなりましたが、代表産駒であるオルフェーヴルやゴールドシップが、後継者として競馬界で成功を収めています。
ダートに強いゴールドアリュール産駒とヘニーヒューズ産駒
ダート競走で成功している種牡馬として、ゴールドアリュールとヘニーヒューズが挙げられます。
ゴールドアリュールは、サンデーサイレンス産駒で唯一のダートG1馬で、最終的にはG1タイトルを4つ獲得しました。
彼の代表的な産駒には、コパノリッキーやスマートファルコン・ゴールドドリーム・サンライズノヴァなどが挙げられます。
2022年の高松宮記念を制したナラングレグもゴールドアリュール産駒です。
ほとんどの馬がダート競走で実績を上げており、ゴールドアリュール産駒はダート全般に強く力を活かす馬が多い特徴があります。
高松宮記念などの重馬場競走でも好走することで有名です。
ヘニーヒューズはアメリカで生まれた競走馬で、現役時代にG1タイトルを2回獲得しました。
有名な産駒にはアジアエクスプレスやモーニン・ワイドファラオなどがいます。
ヘニーヒューズ産駒はスピードとパワーを備え、短距離のダート競走での好走が多いです。
ただし、中距離以上の競走では芝・ダートを問わず成功率が低くなる傾向があり、得意な舞台がはっきりしています。
ダート競走においては、さまざまな産駒が活躍していますが特にゴールドアアリュールとヘニーヒューズの産駒は目を引く存在と言えるでしょう。
競馬の血統まとめ
今回は「競馬の血統」についてご紹介しました。
競馬の血統を辿ると、多くの歴史があり非常に面白いことがおわかりいただけたかと思います。
本記事では、競馬の血統の基本内容や重要な特徴をピックアップしてご紹介しました。
血統を用いて競馬予想をするには、最低限必要な情報ですので必ず押さえておきましょう。
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